• 素粒子チタン光触媒「REDOX」

「消臭」と一口に言いますが、ニオイの原因物質が消えているわけではないかもしれない、ということをご存知でしょうか?

消臭加工している、あるいは、消臭効果のある柔軟剤等を使用していたとしても、ある日とんでもなく臭くなって、どうしてもイヤなニオイが消えなくなってしまった、ということはありませんか?

市場に出回っている「消臭」とはたいてい、「別の香りでごまかすこと」や「不快なニオイを吸着してニオイを感じない(外にもらさない)状態にすること」を意味しています。

光触媒による「消臭」も・・・

その点、光触媒による「消臭」では、ニオイの原因(菌・アンモニアなど)を「分解」でき、その効果は洗濯を繰り返しても落ちにくい。特に、ニオイがついてしまう前に加工しておくことで、より効率的にニオイの吸着を抑制することが可能です。

しかし、市場に出回っている光触媒でそのような消臭ができるものはまずありません。なぜなら「チタン以外の金属」や「セラミック」が含まれているものがほとんどだからです。

 

ドーピング光触媒による「消臭」

酸化チタン(光触媒)は一般に光が少ない場所では効力が落ちるため、抗菌・消臭などができる銀・白金・亜鉛・鉄・銅・アルミナなどを混ぜる(ドープする)、ということがよく行われています。

そのような光触媒を繊維に加工すると、繊維表面でドーピング物質が空気中の水(水蒸気)や菌などを吸着してから酸化し、一時的には「消臭」効果を得られます(すべてがこのようになるとは限りません)。が、チタン以外の物質は、水や汚れなどに反応してそのものが変化してしまい、効果が持続しません。

そして、菌やニオイをまず吸着しないと影響を与えられないという性質は、光触媒機能にも悪影響を与えます。

吸着した水が酸化チタンの表面に付いたり、吸着した物質で酸化チタンが覆われてしまうと、酸化チタンは酸素が吸着できず、肝心の分解作用を発揮する原子状酸素(O)を発生させることができません(触媒毒)。

また、「強力な酸化力を持つOHラジカルが菌などを分解する」という説明もよく目にしますが、空気中でOHラジカルは発生しません(詳しくはこちら

ではなぜ、このような光触媒が市場に出回ってしまうのか。それは抗菌・消臭などの力において酸化チタン単独の光触媒よりも(持続性はないものの)即効性があり、試験結果もすばらしいものとなるからです。

光触媒性能試験の矛盾

ただし、光触媒効果を測定する性能試験は、光触媒(酸化チタン)の原理や実際の使用状況を考慮したものとは言えません。

光触媒抗菌性試験

光触媒繊維の抗菌性能を測定する際には、次のような「ガラス密着法」という試験方法が行われます。

シャーレに濾紙と滅菌した水を入れてU字型のガラス管を置き、その上にガラス板を置いて、試験片を載せる。そこに菌液(菌と水を混ぜたもの)を垂らして、密着ガラスを乾燥しないように被せる。このシャーレを明条件(紫外線照射)と、暗条件(紫外線照射なし)でそれぞれ8時間放置後、試験片から菌を洗い出して、洗い出した液中の菌を測定。

ドーピング光触媒を加工した繊維は、ドーピング物質が菌をまず吸着するため、洗い出し後の水中に菌がほとんどいなくなり、しっかり「抗菌」できていることになります。

しかし、本来測定すべきは「試験片そのものについている菌」ではないでしょうか。

酸化チタン(光触媒)は空気中の酸素を原子状酸素にすることで、有機物を分解することができるのにも関わらず、密着ガラスを乾燥しないように被せる(空気をできるだけ遮断する)というやり方も疑問です。

光触媒消臭性試験

また、光触媒による消臭性能を示すためには、次のような試験にクリアする必要があります。

サンプリングバック(透明なフィルム製の袋)の中に試料を入れ、臭気成分ガスを充填したものを明条件(紫外線照射)と暗条件(紫外線照射なし)でそれぞれ24時間放置。同時に明暗条件ともに試料を入れない空試験を実施し、明暗条件それぞれの臭気減少率(%)を算出。さらに、明条件減少率から暗条件減少率を引いた光触媒効果(%)を求める。

合格基準は、明条件減少率が70%以上かつ光触媒効果20%以上。明条件減少率が70%以上かつ光触媒効果が20%未満の場合は、第2回目暴露試験を行い、光触媒効果が20%以上の場合に合格となります。

この試験をパスするのは至難の業であり、市場に出回っている光触媒製品で、この消臭性能試験を実施しているものはまずありません。(ドーピング光触媒は明暗関係なく反応が起こる。)

実際に行われているのは、

サンプリングバックや三角フラスコに試験片を入れて臭気ガスを充填し、2時間後の臭気濃度を測定してその減少率を算出する、あるいは、臭いを嗅いで評価する

という、一般的な消臭性試験です。

ドーピング光触媒は、ドーピング物質が強力に臭気を吸着するため、当然しっかり「消臭」できます。

しかし、臭気成分を分解すると生成されるはずの物質を測定しない限り、酸化チタン(光触媒)によってニオイが「分解」されたのかどうかを判断することはできません。光「触媒」であるからには、繰り返しの使用に耐えうるのか、という評価ポイントも必要でしょう。

まとめ

以上のように、現在の性能試験では「光触媒によって」どれだけ菌やニオイが「分解」されたのかを測定することができません。菌やニオイを吸着する力が強ければ強いほど、すぐれた結果を残せるような試験方法が採用されているのであり、ドーピング光触媒にとって、とても都合が良い状況だと言えるでしょう。

しかし、冷蔵庫に入れる消臭炭のように捨てる前提で使用するものならまだしも、シャツやタオルなど、直接皮膚に触れ、清潔が期されるものに対して、ニオイや菌を「まずは吸着する」効果を付与している、と考えるとどうでしょう。

昨今では市場に出回っている光触媒製品の性能が広告表示等とは異なることなどから、光触媒自体への不信感を持たれる方もおられます。2019年7月には光触媒を使用したマスクが大きな問題になりました(消費者庁ホームページにリンク)。

光触媒を加工する繊維は、一層の「清潔」を求める消費者に届けられるもののはずであり、菌やニオイを「寄せ付けにくい」「付着しても分解する」という光触媒の効果こそ、もっと活かされるべきだと思われませんか?

REDOX加工繊維は高機能。

REDOXを繊維に加工すると、

表面に量子結合した酸化チタンが光電効果によって帯電防止作用を発揮。静電気の発生を抑制し、ホコリ・菌・ウイルスなどが付着しにくくなります。

さらに、光が当たると原子状酸素(O)が発生し、その強力な酸化力によって接近する有機物等(菌・汚れ・ニオイ分子など)を分解。空気中の水(水蒸気)を酸化させることで、浮遊する有機物等を分解・不活性にします。

菌・汚れ・ニオイなどを寄せ付けにく、付着しても分解できる高機能繊維になるのです。